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カウンセラーの役割とは?心の専門家が果たす本当の仕事
「カウンセラーって何をする人?」という疑問
「カウンセラーって、アドバイスしてくれる人?」
「悩みを解決してくれる先生みたいな存在?」
「ただ話を聞いてくれるだけ?」
カウンセリングに対するイメージは人それぞれですが、実際にカウンセラーがどのような役割を果たしているのかは、意外と知られていません。
この記事では、カウンセラーがどんな仕事をしているのか、そして相談者にとってどんな意味のある存在なのかを、できるだけわかりやすくご紹介します。
カウンセラーに相談することが初めての方や、心理支援に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
カウンセラーは「話を聞くプロ」
カウンセラーの最も基本的で重要な役割は、相談者(クライエント)の話をじっくりと聞くことです。
ここでいう「聞く」は、ただ黙って話を聞いているだけではありません。
共感的に、評価や否定をせず、相手の立場に立って理解しようとする「傾聴」と呼ばれる技術を使っています。
私たちは日常の中で、誰かに話しても「それはこうすればいいんじゃない?」「私もそういうことあったよ」と、自分の意見を重ねられてしまうことがあります。
しかし、カウンセラーはそういった「アドバイス」や「一般論」ではなく、あなた自身の気持ちや考えを深く理解しようと努めるのです。
話すことで心が整理され、言葉にすることで見えてくるものがあります。
そのプロセスを安全な環境で支えてくれるのがカウンセラーです。
問題を整理し、「見えない悩み」に気づくサポート
人は悩んでいるとき、自分の感情や考えがうまく整理できないものです。
「何がつらいのか」「どうしたいのか」が分からないまま、気持ちばかりが重たくなっていくことがあります。
カウンセラーは、相談者の話を聞きながら、
- 何が問題の中心にあるのか
- どのような感情が絡んでいるのか
- どのような背景があるのか
を一緒に整理していきます。
ときには「そう言われてみれば、確かにそうですね」と、自分でも気づかなかった問題の根っこに出会うこともあります。
これが、**カウンセリングを通して得られる“気づき”**です。
問題が見えるようになることで、どう対応していくかを考える力が少しずつ戻ってきます。
カウンセラーは、その“整理と気づき”を促す伴走者のような存在です。
解決ではなく「自立」へのサポートが目的
カウンセラーの役割は、「問題を解決すること」ではありません。
正確に言えば、「カウンセラーが解決する」のではなく、相談者が自分で解決に向かえるようサポートするのが役割です。
アドバイスをして「こうすればいい」と指示するのではなく、相談者自身が自分の中にある答えや希望に気づき、行動を選べるようになるための環境を整える。
これが、カウンセラーの目指す支援の形です。
だからこそ、カウンセリングを受けることで、依存ではなく**“自立”に近づくことができる**のです。
感情を安心して出せる「安全な場」をつくる
カウンセラーの重要な役割のひとつに、「安心できる空間づくり」があります。
心の問題を抱えているとき、私たちは本音を言うことに不安を感じます。
「否定されるのでは」「変に思われたらどうしよう」
そんな気持ちから、悩みを言葉にできずにしまいこんでしまうこともあるでしょう。
カウンセリングでは、カウンセラーが守秘義務を持ち、相談者の気持ちを尊重しながら話を聞いていきます。
どんな話でも受け止め、批判しません。
泣いても、言葉に詰まっても、うまく話せなくても大丈夫です。
このように安心して自分を表現できる場所であることが、カウンセラーの提供する大きな価値なのです。
心理的な知識や技術を活かし、背景にある要因を読み解く
カウンセラーは、心理学の専門知識と臨床経験を活かして、相談者の悩みの背景を理解しようとします。
そのために必要に応じて、心理テストを使うこともありますし、過去の経験や家庭環境などを丁寧に聞くこともあります。
また、ストレス、不安、抑うつ、人間関係、発達特性など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているケースでは、問題を多角的に見立てる力が求められます。
カウンセラーは、こうした知識を活かして、ただ話を聞くだけでなく、話の中にある“ヒント”や“傾向”を見逃さずに支援のヒントを探っていきます。
精神科医との違いは?薬は出せるの?
カウンセラーと精神科医(医師)の違いについて質問されることがあります。
精神科医は医師資格を持ち、診断や薬の処方ができます。
一方、カウンセラー(臨床心理士、公認心理師など)は、診断や投薬は行いません。
カウンセラーの専門は、言葉や関係性を通じた心理的サポートです。
もし相談内容が医療的な判断や治療を必要とする場合は、医師と連携することもあります。
しかし、治療と並行してカウンセリングを受けることで、より丁寧な心のケアが可能になることも少なくありません。
対応するテーマは多岐にわたる
カウンセラーが対応できる悩みは、病気だけに限りません。
- 職場の人間関係に悩んでいる
- 親やパートナーとの関係に疲れている
- 子育てがつらい
- 自分に自信が持てない
- 将来に不安がある
- 生きづらさを感じている
このように、日常の中で誰もが感じる不安や葛藤に寄り添うことが、カウンセラーの大切な役割です。
「病気じゃないと相談できない」ということはありません。
むしろ、「まだ問題が大きくなる前に」相談することが、心を守る一番の方法なのです。
まとめ:カウンセラーはあなたの「味方」になる存在
カウンセラーの役割は、ただ話を聞くだけの存在でも、指導する先生でもありません。
- あなたの話を丁寧に聞き
- 問題を一緒に整理し
- 自分で解決する力を育み
- 安心できる空間をつくる
- 心の背景を読み解く専門性を持ち
- あなたの歩みに寄り添い続ける
カウンセラーは、そんな**“心の伴走者”**です。
悩んでいるとき、自分ひとりでは出口が見えないように感じるかもしれません。
でも、誰かが一緒にいてくれるだけで、心は少しずつ変わっていきます。
もし今、誰かに話を聞いてほしい、気持ちを整理したい、少しでも楽になりたいと感じているなら、カウンセラーの扉を叩いてみてください。
あなたの話に、心から耳を傾けてくれる人が、きっといます。
心理テストをするカウンセラーと話を聞いてくれるカウンセラー、どちらが優秀?
「心理テストばかり?」「話を聞くだけ?」どちらが正しいの?
カウンセリングに興味がある方や、実際に受けたことがある方からよく聞く疑問に、
「心理テストをやるカウンセラーと、話だけ聞いてくれるカウンセラーって、どちらがいいんですか?」
「どっちのほうが信頼できる?優秀なのは?」
というものがあります。
確かに、カウンセラーによってアプローチの仕方が異なるため、「この人、話を全然聞いてくれない」「逆に、心理テストもせずに話ばかりでいいのかな」と不安を感じる方もいるでしょう。
この疑問に対する答えはシンプルで、「どちらが優秀か」ではなく、「あなたにとってどちらが必要か」で考えることが大切です。
この記事では、心理テストを活用するカウンセラーと、対話中心のカウンセラーの違いや役割、それぞれの強みと注意点について解説します。
心理テストを使うカウンセラーの特徴と強み
心理テスト(心理検査)は、相談者の性格傾向や認知のクセ、ストレス状態、発達特性などを客観的に把握するためのツールです。
心理テストを重視するカウンセラーは、次のような特徴を持っています。
・診断補助のために正確な情報を得たい
・数値や結果をベースにした支援方針を立てたい
・言葉にしづらい悩みや無自覚な傾向を把握したい
・学校、職場、医療機関などでレポート提出が必要なケースに対応できる
特に、医療や教育分野では心理テストが重要な意味を持つことが多く、検査の結果が支援の根拠として必要になることもあります。
たとえば、
・発達障害の傾向を見極める
・うつや不安の程度を数値化する
・性格や対人傾向を客観的に理解する
・記憶力や集中力の状態を評価する
など、心理テストには“目に見えない心の動き”を見える形にする力があります。
つまり、言葉では分かりにくい情報を補ってくれるのが心理テストの強みです。
話を聞くことを重視するカウンセラーの特徴と強み
一方で、対話中心のカウンセラーは、「話を丁寧に聴く」ことを主軸に置きます。
このタイプのカウンセラーは、以下のような姿勢を大切にしています。
・相談者の感情や思考を受け止め、整理を助ける
・自分の気持ちや考えに気づくプロセスを支える
・安心して話せる関係性(ラポール)を築く
・「今、何がつらいのか」「本当はどうしたいのか」に焦点をあてる
このアプローチは、「今ここ」の心の状態に寄り添い、言葉による表現や気づきを通して内面を整理していくことに力があります。
とくに、「とにかく話を聞いてほしい」「頭の中を整理したい」「誰にも言えないことを吐き出したい」という人にとっては、対話中心のカウンセリングのほうが癒しや納得感を得やすいでしょう。
また、カウンセリングは“関係性の中で変化が生まれる”と言われるように、カウンセラーとの信頼関係が深まるほど、悩みの本質に近づけることもあります。
どちらが優秀かは「目的による」
では、心理テスト重視のカウンセラーと、話を重視するカウンセラー、どちらが優秀なのか。
答えは、「目的やタイミングによって、どちらが“あなたにとって適しているか”が変わる」ということです。
例えば、
- 発達障害の診断や支援を考えている → 心理テストが必要
- 今の気持ちを誰かに整理してもらいたい → 対話中心が向いている
- 職場での配慮を依頼するための文書が必要 → 心理検査が役立つ
- 何がつらいのか分からないけど誰かに話したい → 話を聞くカウンセラーが適している
つまり、「カウンセラーの技法」ではなく、「あなたの悩みの性質や目的」によって、合うスタイルが変わるのです。
どちらのタイプが“優秀”というより、必要なときに必要な技法を選べるカウンセラーが本当に優秀だと言えるでしょう。
両方をバランスよく使うカウンセラーもいる
優秀なカウンセラーほど、「心理テストか」「対話か」の二者択一ではなく、状況に応じて両方を適切に組み合わせています。
たとえば、
・最初は話を中心にし、必要があればテストを勧める
・心理検査の結果を説明しながら、そこから対話につなげる
・検査で見えた傾向を、実際の生活の中でどう感じているかを深掘りする
このように、テストの数値と相談者の感覚を両方大切にする柔軟なスタイルが、実は一番信頼できる形かもしれません。
「この人はテストばかり」「この人は何も判断してくれない」など、極端な対応ではなく、相談者に寄り添いながら方法を選ぶことができるカウンセラーが、結果として良い支援につながります。
カウンセラーを選ぶときのポイント
カウンセリングを受ける際、どんなカウンセラーを選べばよいか迷ったら、以下の点をチェックしてみましょう。
・自分の話を遮らずに聞いてくれるか
・テストを勧めるときに理由をきちんと説明してくれるか
・「今日は話をしたい」と伝えたら、それを尊重してくれるか
・答えや評価を押しつけてこないか
・柔軟に方法を調整してくれるか
最終的には、「この人になら話せる」「自分をちゃんと見てくれている」と感じられるかどうかが、カウンセリングの成果に大きく関わります。
また、1回で決めずに2〜3回試してみて判断するのもおすすめです。
心理テストに抵抗があるときは遠慮なく伝えてOK
もしカウンセリング中に心理テストを提案されて、なんとなく気が進まないと感じたら、無理に受ける必要はありません。
心理テストはあくまで補助的な道具であり、強制ではありません。
「今は話すことを大事にしたい」
「数字に縛られるのが不安」
といった気持ちを率直に伝えて大丈夫です。
良いカウンセラーであれば、あなたの気持ちに配慮して対応してくれるはずです。
反対に、理由も説明せずに検査を強引に進めようとするカウンセラーであれば、一度立ち止まって考えてもいいかもしれません。
まとめ:あなたに合ったカウンセリングスタイルを見つけよう
「心理テストをするカウンセラーと、話を聞いてくれるカウンセラー、どちらが優秀か?」という問いに、はっきりとした“正解”はありません。
大切なのは、
- 今のあなたにどんな支援が必要か
- 話を聞いてもらうことと、客観的に分析されること、どちらに安心を感じるか
- 一方的に進めるのではなく、あなたのペースを尊重してくれるか
という視点でカウンセラーを選ぶことです。
本当に信頼できるカウンセラーは、心理テストも対話も目的に応じて適切に使い分けながら、あなたの心に寄り添い続けてくれる存在です。
カウンセリングに「正解のかたち」はありません。
あなた自身の気持ちやタイミングを大切にして、「自分に合った支援スタイル」を選ぶことが、何よりも心の回復への第一歩になります。
あなたの話を丁寧に聴き、問題点を整理し、適切なアドバイスを——私たちのカウンセリングの姿勢
カウンセリングに「話を聞くだけで終わるのでは?」という不安
「カウンセリングって話を聞いてもらうだけじゃないの?」
「話すのはいいけど、何かアドバイスも欲しい」
「もっと具体的な整理や提案をしてくれるところがいい」
そう感じたことがある方もいるのではないでしょうか?
確かに、「カウンセラー=ただ聞いてくれる人」というイメージは根強くあります。しかし実際のカウンセリングの現場では、ただ傾聴するだけでなく、その人の話の中にある課題やパターンを整理し、分析し、必要に応じて具体的な助言をすることも重要な役割です。
私たちが提供しているカウンセリングでは、「話を聞いてもらえてスッキリした」だけで終わらせず、その先に進むサポートを大切にしています。
今回は、私たちが心がけているカウンセリングの姿勢について詳しくお伝えします。
1.まずは「丁寧に話を聞く」ことから始まります
すべてのカウンセリングの出発点は「話を聞くこと」です。
ここでの“聞く”とは、ただ静かにうなずくのではありません。
相談者の言葉の奥にある感情や葛藤、背景にある価値観を理解するために、共感的かつ注意深く耳を傾けます。
私たちは、クライエントのペースを尊重しながら、
- 否定しない
- 急かさない
- 判断しない
この3つを基本姿勢としています。
安心して本音を話せる雰囲気を整えることで、相談者自身も「本当に話したかったこと」にたどり着けるようになります。
心の奥にしまいこんでいた気持ちが言葉になると、それだけで大きな前進です。
2.話の内容を一緒に「整理」していきます
悩んでいるとき、多くの方は「何が問題か自分でもわからない」と感じています。
話しているうちに、いろいろな感情や出来事が混ざり合い、考えがまとまらなくなることもしばしばです。
そこで私たちは、相談者の語った内容を一緒に振り返りながら、問題の全体像をわかりやすく整理するお手伝いをします。
たとえば、
- 出来事の時系列を整理する
- 「いちばんつらかった瞬間」はどこかを探る
- どんな感情が繰り返し出てきているかを見る
- 何に対して我慢しすぎているかを明確にする
このように「見える化」することで、頭の中のもやもやが少しずつ形になり、気づきが生まれてきます。
相談者自身が「これが本当の悩みだったんだ」と気づける瞬間が、次のステップへと進むきっかけになります。
3.感情や思考のパターンを「分析」します
話を聞き、内容を整理した後、私たちは必要に応じて心理的な視点から分析を行います。
ここでいう分析とは、単に「あなたの性格はこうです」と決めつけるものではありません。
その人の行動や感情の背景にある考え方のパターン、ストレスの影響、人間関係の構造などを、一緒に読み解いていくプロセスです。
たとえば、
- 他人の目を気にしすぎるクセ
- 自分を責めやすい思考の傾向
- 無意識のうちに繰り返している人間関係のパターン
- 過去の経験が今の反応に影響を与えている場面
こうした“心のクセ”に気づくことは、自分を変えていくうえで非常に重要です。
私たちは、こうした分析を押しつけではなく「気づき」として丁寧に共有しながら、相談者が納得できる形で理解を深めていけるように心がけています。
4.必要に応じて「具体的なアドバイス」も行います
多くのカウンセラーは、「アドバイスはしないもの」と思われがちです。確かに、基本的には相談者が自分の力で答えを見つけられるよう支援するのがカウンセリングの原則です。
しかし、私たちは「必要な場面では適切なアドバイスも提供すべき」だと考えています。
- 具体的な行動の提案(例:家族との伝え方、職場への対応法)
- 考え方を切り替えるヒント(例:「こう考えてみると楽になるかもしれません」)
- ストレス対処の方法(例:呼吸法、ルーティンの作り方)
- 選択肢の提示(例:利用できる支援制度、医療機関の紹介)
一方的な指導ではなく、相談者の状況や性格に合った選択肢を丁寧に伝えることを意識しています。
「考える材料が増えた」「自分で選べる感じがする」と言っていただけることが多いです。
アドバイスをするかどうかは、その人の希望や心理状態にもよります。
無理に押しつけることはせず、「もしご希望があれば…」という形で、タイミングと内容を調整しています。
5.目指すのは「問題解決」よりも「自己理解と行動の変化」
カウンセリングの目的は、単に問題をなくすことではありません。
私たちが重視しているのは、相談者が自分を深く理解し、自分らしく選び、行動できるようになることです。
悩みはすぐに消えなくても、「自分にはこういう一面がある」「こういう時にこう考えるクセがある」と気づくだけでも、日々のストレスとの向き合い方が変わってきます。
私たちは、相談者がカウンセリングを終えた後も、自分で心のケアができるようになることを目標にしています。
だからこそ、話を聞いて終わりではなく、
- 整理して
- 分析して
- 必要な提案もして
- 最後は自分で納得して選べるようにする
というプロセスを大切にしています。
6.一人ひとりに合わせた柔軟な対応
すべての人に同じアプローチが通用するわけではありません。
私たちは、相談者の性格・価値観・現在の心理状態などを踏まえて、最適な関わり方を選ぶよう心がけています。
「まずはじっくり話を聞いてほしい」
「できるだけ具体的なアドバイスが欲しい」
「深く掘り下げるより、今の悩みに対応したい」
こうした希望にも柔軟に対応し、“その人に合ったカウンセリング”を提供することを大切にしています。
そのために、初回の面談ではしっかりとニーズを聞き、関係性を丁寧に築いていくところからスタートします。
最後に:一歩踏み出すあなたを全力でサポートします
悩みがあるとき、人はつい「自分で何とかしなければ」と思いがちです。
でも、誰かに話を聞いてもらい、一緒に整理し、分析し、必要なアドバイスを受けることで、心はずっと軽くなります。
私たちは、相談者の人生や選択を尊重しながら、丁寧に寄り添うカウンセリングを行っています。
話してスッキリするだけでなく、次の一歩に進むためのヒントや視点を提供できるカウンセラーを目指しています。
もし今、心が少し疲れていたり、ひとりで抱え込んでいることがあるなら、どうか一度ご相談ください。
あなたの心の声を、私たちは真剣に受け止め、必要なサポートをご提供します。
あなたの一歩を、私たちは全力で応援します。
「私だけが苦しい」と思い込む心に、話を聞いて「違うよ」と伝えることの大切さ
精神的につらいとき、「自分だけが苦しんでいる」と感じてしまう
心の不調を抱えている人の多くは、周囲の人にうまく相談できず、ひとりで悩みを抱えています。
それだけでもつらいのに、さらに「こんなことで悩むなんて、自分だけかもしれない」「私はおかしいのかな」と、自分を責める気持ちが強くなることがあります。
実際に、精神疾患の相談の現場では、次のような言葉がよく聞かれます。
- 「周りの人は普通にできているのに、なんで自分だけ…」
- 「こんなことで苦しんでるのは私くらいじゃないかと思う」
- 「迷惑をかけたくないから、誰にも言えない」
これは決して特別なことではなく、**心の病を抱えたときによく起きる“思い込み”や“孤立感”**です。
その背景には、無理解や偏見、そして「弱音を吐いてはいけない」という社会の空気も影響しています。
だからこそ、私たちカウンセラーや支援者の役割は、その思い込みを優しく揺るがし、「あなたは一人じゃない」「そう感じるのは当然のこと」と伝えることにあるのです。
「私だけ?」という思い込みが生まれる理由
人が「自分だけが苦しい」と感じてしまう理由には、いくつかの心理的要因があります。
1.比較の罠に陥りやすい
SNSや周囲の人の様子を見て、「みんな普通に生活している」「仕事も家事もちゃんとこなしている」と感じると、自分の不調が際立って見えてしまいます。
表面だけを見て比較してしまうと、自分だけが取り残されたように感じてしまいます。
2.心の不調は“見えない”ために誤解されやすい
風邪やケガとは違って、精神疾患は外からは分かりにくいものです。
そのため、「こんなにつらいのに誰にも伝わらない」「理解されない」と感じやすくなります。
共感されることが少ないと、「自分はどこかおかしいのでは?」という思考が強まっていきます。
3.真面目で責任感が強い人ほど、自分を責めやすい
精神的に不調をきたす方の中には、周囲に気を使いすぎたり、完璧を求めて無理をしてしまう方が多くいます。
だからこそ、「できない自分」「迷惑をかける自分」を許せず、自分を孤独に追い込んでしまう傾向があるのです。
話を「きちんと聞く」ことが、心の救いになる
そんなとき、何よりも必要なのが「話を聞いてくれる人の存在」です。
誰かに話をすることで、
- 思い込みに気づける
- 感情を言葉にできる
- 自分を少し客観視できる
- 気持ちが整理され、少し軽くなる
といった効果があります。
特に、否定せず、評価せず、共感的に話を聞いてもらえることで、**「こんなふうに感じていいんだ」「これは自分だけじゃなかったんだ」**と、安心感が生まれます。
私たちカウンセラーは、相談者の言葉のひとつひとつに丁寧に耳を傾けながら、その背景にある感情や葛藤を理解しようとしています。
そして、「あなたの感じ方は自然なこと」「このように感じる人は他にもたくさんいます」と伝えることで、“孤独な心”に光を当てるお手伝いをしています。
「違うよ、一人じゃないよ」と伝えることの大切さ
誰かに話をしたときに、「あなたは間違ってないよ」と受け止められた経験は、何よりも心強いものです。
「そう感じて当然ですよ」
「似たような悩みを抱えている人は実はたくさんいますよ」
「あなたはおかしくなんかありません」
このような言葉は、簡単なようでいて、実は心に大きな影響を与えます。
それまで「自分だけがおかしい」と思い込んでいた人にとって、「他にもいる」と知るだけで、安心と希望が生まれるのです。
ただし、それは単なる慰めではありません。実際、うつ病や不安障害、適応障害、パニック障害などは、誰でもなりうるものです。
そして、悩みながらも日々を過ごしている人は、想像以上に多くいます。
私たちは、そうした事実とともに、「あなたは一人ではない」ということを丁寧に伝えるようにしています。
勇気づけることは、前を向く力になる
カウンセリングの現場では、話を聞くだけでなく、勇気づけることも重要な役割です。
勇気づけとは、無理に前向きな言葉を投げかけることではありません。
「今のあなたでも大丈夫」「ここに味方がいる」と感じてもらうことです。
心が弱っているとき、人は「がんばれ」と言われるだけでプレッシャーに感じてしまいます。
だからこそ、私たちはその人の今の状態を認め、無理のないペースで進めることを大切にしています。
- 少し笑えた
- ご飯が食べられた
- 寝つきが少し良くなった
- 人と会うことができた
そのどれもが、小さな前進です。
そうした変化を一緒に見つけ、言葉にしていくことが、次の一歩を踏み出す力になります。
「話せる場所」があるだけで、人は変わる
精神疾患に限らず、心の問題は見えにくく、理解されにくいものです。
だからこそ、「安心して話せる場所」「何を言っても否定されない場所」が必要です。
私たちは、そのような場所を提供するために、日々カウンセリングに向き合っています。
- 人に話すのが怖い
- 何から話していいか分からない
- 話したら泣いてしまいそうで不安
そんな気持ちもすべて大切に受け止め、ゆっくりと心の荷物を下ろせるような時間をつくっています。
ひとりで抱え続ける必要はありません。
誰かに話すことで、「自分を責める気持ち」から解放されることがあります。
まとめ:「私だけじゃなかった」と思えたとき、心は少し軽くなる
精神疾患を抱える人の多くが、「私だけがこんな思いをしている」と感じてしまいます。
その思い込みは、孤独や不安をさらに深めてしまう原因になります。
だからこそ、私たちはその声に耳を傾け、
「あなたは一人じゃない」
「同じように感じている人は他にもいる」
「それはおかしなことではない」
と伝えることを大切にしています。
そして、話を聞くだけで終わらず、その人の強さや小さな変化に目を向け、勇気づけていく。
それが、私たちのカウンセリングの原点です。
「話すこと」は、ただの会話ではありません。
心を回復させるための、最初の一歩です。
もし今、誰にも話せずに苦しんでいるなら——
私たちは、あなたの話に丁寧に耳を傾ける準備ができています。
一人で抱えないでください。
話すことで、きっと見える景色が変わっていきます。
心理テストをご希望の方へ——私たちのカウンセリング方針について
カウンセリングを求める理由は人それぞれ
近年、カウンセリングに対する関心は高まり、インターネットや口コミなどを通して、さまざまな人がカウンセリングルームを訪れるようになりました。
その中でよくあるご要望のひとつが、「心理テストをしてほしい」「自分の性格や傾向を数値で知りたい」というものです。
たしかに、心理検査は客観的に自分の状態を把握するための便利なツールです。
「自分の傾向を知りたい」「発達障害があるか確認したい」「診断の補助として検査を受けたい」といったご希望があるのも理解できます。
しかし、私たちのカウンセリングルームでは、心理テストの実施や診断補助的な検査の提供は行っておりません。
心理テストを中心にした支援をご希望の方には、誠に申し訳ありませんが、他の専門機関や検査対応可能なカウンセリングルームをご検討いただくようお願いしています。
この記事では、その理由や私たちのカウンセリング方針について、できる限り丁寧にご説明します。
私たちが心理テストを行わない理由
心理テスト自体が悪いものだとは考えていません。
それどころか、医療機関や教育現場などでは重要な情報源になる場合も多く、適切に使えば有効な手段です。
ではなぜ、私たちが心理テストを扱わないのか。
それには以下のような明確な理由があります。
1.「対話による変化」を大切にしているから
私たちが大切にしているのは、対話を通じて、自分の気持ちや考えに気づき、自分自身で選択していけるようになることです。
心理テストで数値や傾向を知っても、「自分はこうだから仕方ない」とラベリングされて終わってしまうことも少なくありません。
そうではなく、対話の中でじっくりと自分を見つめ、気づき、整理していくプロセスこそが、深い変化につながると信じているのです。
そのため、短時間で結果を出す検査ではなく、「話すこと」によって得られる自己理解を重視しています。
2.診断や評価が目的ではないから
心理検査の結果は、時に「診断」や「評価」へとつながります。
しかし、私たちは診断を下す立場にありませんし、そもそも評価を目的とした関わり方は行っておりません。
「あなたはこういうタイプです」
「この傾向があります」
といった外からの分析よりも、その人自身の言葉で語られる物語を大切にしたいと考えています。
私たちは、あなたが「どんな数字で表される人か」ではなく、「どんなことに悩み、どんな思いで日々を過ごしているか」を大切にします。
3.検査が必要な場合は、適切な専門機関の紹介をおすすめしているから
もし本当に心理検査や診断が必要であれば、それは医療機関や心理検査を専門に行っているカウンセリングルームの領域です。
- 発達障害の診断を受けたい
- 学校や職場に提出する書類が必要
- 認知機能の評価を受けたい
このようなニーズに対しては、しかるべき専門家のもとでの対応が望ましいと私たちは考えています。
私たちは「何でも屋」ではなく、自分たちの専門領域に誠実であることを第一にしています。
私たちのカウンセリングが大切にしていること
私たちが日々大切にしているのは、次のようなカウンセリングの基本姿勢です。
- 話を丁寧に聴くこと:どんな話でも否定せず、共感的に受け止めます
- 問題点を一緒に整理すること:何がつらいのか、何に困っているのかを一緒に見つけていきます
- 必要な視点や提案を提供すること:必要に応じて、考え方の整理や現実的なアドバイスも行います
- 「自分を生きる力」を取り戻すこと:その人が自分で考え、選び、行動できるようになることを目指します
これは、短期的な解決や診断よりも、長期的に「その人らしく生きる力」を育てることに焦点を当てた関わり方です。
「数字」よりも「言葉」を大切にしたい
心理テストは、確かに客観的な情報を提供してくれます。
ですが、数字や結果だけでは語れない、その人なりのストーリーがあります。
- なぜそれがつらいのか
- いつから苦しかったのか
- 何に我慢してきたのか
- 本当はどうしたかったのか
そうした「言葉になっていない声」に耳を傾けることが、私たちのカウンセリングの中心です。
検査や診断によって「自分が何者か」を知ることもひとつの手段ですが、対話によって「自分で自分を理解していく」プロセスの方が、深い変化を生み出します。
私たちはそのプロセスを信じて、今日もカウンセリングを行っています。
もし心理検査をお望みなら、他の機関をご利用ください
繰り返しになりますが、心理検査を希望される方には、私たちでは対応できません。
そのため、以下のようなニーズをお持ちの方は、他の専門機関へのご相談をおすすめします。
- 発達障害やADHDの診断を希望している
- 学校や職場で必要な文書の作成が目的である
- WAIS、WISC、ロールシャッハなどの正式な検査を受けたい
- 数値で客観的な結果を得たい
当ルームでは、これらのご要望に対応する設備・資格・体制を整えていないため、誠実にお断りさせていただいております。
ご理解とご協力をお願いいたします。
最後に——私たちのカウンセリングを必要としてくださる方へ
私たちが行っているのは、派手な技法や即効性のある解決ではありません。
けれども、確実に「心に寄り添う」ことには自信があります。
- 誰にも言えないことを話したい
- 今の自分を整理したい
- 自分らしさを取り戻したい
- つらさの正体をゆっくり探っていきたい
こうした思いをお持ちの方には、全力で寄り添い、丁寧にお話を伺う準備ができています。
私たちのカウンセリングスタイルは、「心の奥にある言葉」を丁寧に紡いでいく、静かであたたかいプロセスです。
心理テストでは得られない、「本当の自分を知る時間」を大切にしたい方にとっては、きっと価値ある時間になると信じています。
どうか、必要な人にこのスタンスが届きますように。