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統合失調症スペクトラム障害:専門家と歩む回復への道
もしも、大切なご家族が統合失調症スペクトラム障害と診断されたら、不安や戸惑いを感じるのは当然のことです。
「これからどうなるんだろう?」
「どう接すればいいんだろう?」
この病気は、適切な治療とサポートによって、症状をコントロールし、安定した日常生活を取り戻すことが十分に可能です。ここでは、そのための具体的な治療法について、分かりやすく解説します。
治療の3つの柱:薬物療法、精神療法、そしてリハビリテーション
統合失調症スペクトラム障害の治療は、主に薬物療法、精神療法、そして心理社会的リハビリテーションの3つを組み合わせて進められます。
1. 薬物療法:脳の働きを整える大切なステップ
薬物療法は、統合失調症スペクトラム障害の治療の中心となります。幻覚や妄想、考えがまとまらないといったつらい症状は、脳の神経伝達物質のバランスの乱れが原因で起こることが多いため、薬でそのバランスを整えます。
- 抗精神病薬: ドーパミンという神経伝達物質の働きを調整し、幻覚や妄想を軽減します。また、意欲の低下や感情の鈍化といった症状にも効果を発揮する薬もあります。
薬には、眠気や体重増加などの副作用が出ることがあります。自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談し、薬の種類や量を調整してもらうことが重要です。症状が落ち着いた後も、再発を防ぐために継続して服用することが大切です。
2. 精神療法:病気への理解を深める
薬物療法と並行して、精神療法も行われます。心理教育やカウンセリングを通じて、病気との向き合い方を学び、自分らしい生活を取り戻すための力をつけていきます。
- 心理教育: 病気について正しく理解することが、治療の第一歩です。幻覚や妄想がなぜ起こるのか、薬の役割、再発の兆候などを学びます。家族も一緒に学ぶことで、お互いの理解が深まります。
- 認知行動療法(CBT): 幻覚や妄想の症状に対して、その内容にとらわれず、適切に対処するスキルを身につけます。たとえば、「幻聴が聞こえても、それは病気の症状だと認識し、気にしないようにする」といった対応を練習します。
3. 心理社会的リハビリテーション:社会とのつながりを再構築する
症状が落ち着いてきたら、社会生活を送るためのスキルを身につけるリハビリテーションを開始します。社会復帰を目指す上で、非常に重要なステップです。
- SST(社会生活技能訓練): 他の人と円滑にコミュニケーションをとる方法や、日常生活での困りごと(例:電話のかけ方、買い物)に対処するスキルを、ロールプレイなどを通して実践的に学びます。
- 作業療法: 軽作業や創作活動などを通して、集中力や持続力を高め、生活のリズムを整えることを目指します。
- 就労支援: 病気を抱えながらでも働けるよう、職業訓練や職場への定着支援などを行います。
統合失調症スペクトラム障害は、治りにくい病気というイメージがあるかもしれませんが、今は様々な治療法が確立されています。一人で悩まず、焦らず、専門家の力を借りて、一歩ずつ回復への道を歩んでいきましょう。