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2025-07-17 16:13:00

強迫症と共に生きる

「鍵を閉めたか何回も確認してしまう」「手が汚れている気がして、何度も洗ってしまう

もし、あなたがそう感じているなら、それは**強迫症(強迫性障害)**かもしれません。頭から離れない嫌な考え(強迫観念)と、その不安を打ち消すために繰り返してしまう行為(強迫行為)によって、日常生活が困難になる心の病です。ご自身の意思とは関係なく起こるため、大きな苦痛を伴います。

今回は、強迫症がどのように発病し、どのようにして安定した状態へと向かっていくのか、その道のりを見ていきましょう。

1. 発病・急性期:不安と行為のループに囚われる

強迫症の始まりは、些細なきっかけであることが多いですが、その「気になる」気持ちが次第に強くなり、コントロールできなくなっていくのが特徴です。

頭から離れない「不安な考え」

「ドアの鍵を閉め忘れて泥棒が入ったらどうしよう」「手が汚れていて、病気になったらどうしよう」「誰かに危害を加えてしまうのではないか」といった、不合理だと分かっていても頭から離れない考え(強迫観念)が頻繁に浮かび上がります。これらの考えは、非常に不快で、ご自身を苦しめます。

不安を打ち消す「繰り返しの行為」

そして、その強迫観念によって生じる強い不安を打ち消すために、特定の行為を繰り返してしまいます。これが強迫行為です。例えば、鍵を閉めたか何度も確認する、手を何度も洗い続ける、特定の順番で物事を並べないと気が済まない、といった行動です。これらの行為は、一時的に不安を和らげるかもしれませんが、すぐにまた次の不安が湧き上がり、行為を繰り返さずにはいられなくなります。

日常生活への大きな影響

強迫行為に要する時間は次第に長くなり、何時間もそれに費やしてしまうことがあります。そのため、約束の時間に遅れる、仕事や学業に集中できない、睡眠時間が削られるなど、日常生活に大きな支障をきたすようになります。この状態がひどくなると、家から出られなくなったり、社会生活を送ることが極めて困難になったりすることもあります。ご本人も「こんなことはおかしい」と自覚しているため、その苦しみはさらに深まります。

受診の決断

「このままではいけない」「この苦しさから逃れたい」と感じた時が、専門機関を受診するタイミングです。強迫症は、ご自身の努力だけではなかなか改善が難しい病気です。医師や専門家との協力によって、回復への道が開かれます。多くの場合、**薬物療法と心理療法(特に認知行動療法の一種である曝露反応妨害法)**が組み合わせて行われます。

2. 回復期:不安と行為のループを断ち切る挑戦

急性期を乗り越え、強迫観念や強迫行為が少しずつ軽減され始めるのが回復期です。この時期は、不安な状況にあえて向き合い、強迫行為をしない練習を重ねる、勇気ある挑戦の時期となります。

治療の中核「曝露反応妨害法」

強迫症の治療において非常に有効なのが、**曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)**です。これは、不安を感じる状況(曝露)にあえて身を置き、その後に出てくる強迫行為を「しない(反応妨害)」練習を繰り返すものです。

例えば、「手が汚れている」と感じても、手を洗う行為を我慢する。鍵を閉めて一度確認したら、もう二度と確認しない、といった具合です。最初は非常に強い不安や苦痛を伴いますが、強迫行為をしないまま不安に耐えることで、「何もしなくても大丈夫だった」という経験を積み重ね、徐々に不安が減少していくことを実感できます。

小さな成功体験の積み重ね

この治療は、焦らず、小さなステップから始めることが大切です。医師やセラピストのサポートを受けながら、「少しだけ我慢できた」「一度しか確認しなかった」といった小さな成功体験を積み重ねていくことで、自信がつき、徐々に大きな課題にも取り組めるようになります。

薬物療法のサポート

薬物療法は、脳内の神経伝達物質のバランスを整え、強迫観念によって生じる不安や苦痛を軽減するサポートをします。これにより、曝露反応妨害法に取り組みやすくなる効果が期待できます。

3. 維持期・安定期:自分らしい生活を取り戻す

症状が落ち着き、強迫観念や強迫行為に費やす時間が減り、日常生活を問題なく送れるようになるのが維持期・安定期です。この時期も、再発予防のための継続的な治療と、日々のセルフケアが重要になります。

継続的な治療と定期受診

症状が安定していても、医師の指示通りに服薬を続けることが再発予防につながります。自己判断で服薬を中止しないようにしましょう。定期的に主治医を受診し、体調の変化や気になる症状がないか相談することで、早期の対応が可能になります。

不安との上手な付き合い方

強迫症は「治癒」というよりも「寛解(症状が落ち着いた状態)」を目指す病気です。完全に強迫観念がなくなることは難しいかもしれませんが、それが浮かび上がっても、強迫行為に繋がらないよう対処できるようになることが目標です。不安を感じた時に、強迫行為に頼らず、他の方法でストレスを解消したり、気分転換をしたりするスキルを磨きます。

生活の質の向上と社会参加

強迫行為から解放された時間が増えることで、仕事や趣味、対人関係など、これまでの生活を充実させることができます。自分らしい生活を取り戻し、社会参加を積極的に行うことが、さらなる安定につながります。

再発のサインへの気づき

自分自身の体調の変化や、強迫観念や強迫行為が再び強くなる前のサインにいち早く気づき、早めに医療機関に相談することが再発予防には不可欠です。少しでも不安を感じたら、躊躇せず専門家を頼りましょう。

強迫症は、非常に苦しい病気ですが、適切な治療を受け、根気強く取り組むことで、必ず症状は改善し、より自由で充実した生活を送ることができるようになります。一人で抱え込まず、専門家のサポートを得ながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

 

2025-07-17 16:12:00

不安症と共に生きる

「なんだか、いつも落ち着かない」「漠然とした不安がずっとある」「人前だと息苦しくなる

もし、あなたがそう感じているなら、それは**不安症(不安障害)**かもしれません。不安は誰にでもある感情ですが、それが過度になり、日常生活に支障をきたすほどになると、病気として治療が必要になります。不安症は決して珍しい病気ではなく、多くの方が悩みを抱えています。

今回は、不安症がどのように発病し、どのようにして安定した状態へと向かっていくのか、その道のりを見ていきましょう。

1. 発病・急性期:不安に支配される日々

不安症の始まりは、人それぞれです。ある特定の状況で突然強い不安に襲われたり、漠然とした不安が徐々に日常生活に広がっていったりすることもあります。

突然の襲来、またはじわじわと

  • **パニック症(パニック障害)**の場合、突然の動悸、息苦しさ、めまい、発汗、手足の震えといった激しい身体症状を伴う「パニック発作」に襲われます。死の恐怖を感じるほどの体験で、「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安が強くなり、特定の場所や状況を避けるようになることも少なくありません。
  • **社交不安症(社交不安障害)**の場合、人前で話す、食事をする、文字を書くなど、他者の視線や評価を意識する場面で強い不安や恐怖を感じ、顔が赤くなる、声が震える、汗をかくなどの身体症状を伴います。その状況を避けるようになり、対人関係や社会生活に大きな影響を及ぼします。
  • **全般不安症(GAD**の場合、特定の対象がないにもかかわらず、仕事、健康、将来など、あらゆることに対して慢性的に過剰な心配や不安を抱え、落ち着かない、集中できない、疲労感、不眠といった症状が続きます。

日常生活への影響

これらの不安は、次第に日常生活に影を落とし始めます。外出が怖くなったり、仕事や学業に集中できなくなったり、友人との約束を避けるようになったりと、行動範囲が狭まり、孤立してしまうこともあります。ご本人も「なぜこんなに不安なんだろう」と悩み、周囲からは「気のせい」「気にしすぎ」と言われてしまい、さらに苦しみを深めることも少なくありません。

受診への勇気

「この苦しみから解放されたい」「自分はもしかして病気なのではないか」と感じた時が、専門機関を受診するタイミングです。不安は目に見えない感情であるため、医療機関を受診することにためらいを感じるかもしれませんが、この一歩が回復への大きな希望となります。医師は、あなたの話に耳を傾け、適切な診断と治療法を提案してくれるでしょう。多くの場合、**薬物療法と心理療法(特に認知行動療法)**が組み合わせて行われます。

2. 回復期:不安との付き合い方を学ぶ時

急性期を乗り越え、少しずつ不安の症状が和らぎ始めるのが回復期です。この時期は、不安を感じても対処できる感覚を身につけ、生活範囲を広げていく大切な段階です。

症状の軽減と「少しずつ」

薬の効果や心理療法によって、パニック発作の頻度が減ったり、社交場面での不安が軽減されたり、漠然とした心配事が和らいだりします。しかし、一気に不安がなくなるわけではありません。時には症状がぶり返すように感じる「波」があるかもしれません。これは回復の自然な過程であり、焦らず、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。

心理療法の活用

特に認知行動療法は、不安症の回復に非常に有効です。不安を感じやすい思考のパターン(認知)に気づき、それをより現実的で建設的なものに変えていく練習をします。また、不安を避けていた状況に、段階的に慣れていく**曝露療法(ばくろりょうほう)**も行われることがあります。例えば、社交不安症であれば、少しずつ人との会話を増やす練習をしたり、パニック症であれば、発作が起きやすいと感じる場所へ短い時間から行ってみる、といった具合です。

セルフケアの習得

自分の不安の引き金となるものや、不安が高まった時の身体感覚を理解し、どのように対処すれば良いかを学ぶ時期です。リラックスできる呼吸法、マインドフルネス、軽い運動、十分な睡眠、バランスの取れた食事など、セルフケアのスキルを身につけ、日常生活に取り入れていくことが、不安をコントロールするために非常に役立ちます。

 

3. 維持期・安定期:自分らしい生活を取り戻す

症状が落ち着き、日常生活を問題なく送れるようになるのが維持期・安定期です。この時期も、再発予防のための継続的な治療と、日々のセルフケアが重要になります。

継続的な治療と定期受診

症状が安定していても、医師の指示通りに服薬を続けることが、再発予防につながります。自己判断で服薬を中止しないようにしましょう。定期的に主治医を受診し、体調の変化や気になる症状がないか相談することで、早期の対応が可能になります。心理療法も、必要に応じて継続することができます。

不安との上手な付き合い方

不安がゼロになることは難しいかもしれません。大切なのは、不安を感じた時に、それが過剰な不安なのか、それとも必要なサインなのかを見極め、適切な対処ができるようになることです。以前学んだストレス対処法やセルフケアのスキルを実践し、不安が大きくなる前に対応できるようになることが目標です。

日常生活の充実

趣味や仕事、ボランティア活動などを通じて、社会とのつながりを持ち続けることは、心の安定に非常に大切です。不安を乗り越えて、新しいことに挑戦したり、これまで避けていた活動を楽しんだりすることで、自信を取り戻し、生活の質が向上します。

再発のサインへの気づき

自分自身の体調の変化や、不安が強くなる前のサイン(例:不眠が続く、過度に心配してしまう、特定の状況を避けるようになるなど)にいち早く気づき、早めに医療機関に相談することが再発予防には不可欠です。ご家族や友人にも、事前にこれらのサインを伝えておくことも有効です。

不安症は、適切に治療すれば必ず改善する病気です。一人で抱え込まず、専門家のサポートを得ながら、一歩ずつ安心できる生活へと向かっていきましょう。あなたの心が軽くなる日を、私たちは応援しています。

 

2025-07-17 16:11:00

統合失調症と共に生きる

もし、あなたの耳に、他の人には聞こえない声が聞こえ始めたら?もし、自分が誰かに監視されている、悪口を言われていると感じたら?それは、もしかしたら統合失調症という病気のサインかもしれません。

統合失調症は、幻覚や妄想といった独特の症状を特徴とする病気で、ご本人だけでなく、ご家族も大きな混乱に直面することがあります。しかし、適切な治療と継続的なサポートがあれば、症状はコントロールでき、多くの人が地域で安定した生活を送ることが可能です。

今回は、統合失調症の発病から安定までの道のりを、段階を追って見ていきましょう。

1. 発病・急性期:現実とのズレ、そして混乱

統合失調症の発病は、多くの場合、思春期から青年期(10代後半から30代頃)に起こります。最初は漠然とした違和感や、これまでと違う「何か」から始まり、次第に現実とのズレが生じていきます。

初期症状のサイン

「以前と比べて、なんとなく様子がおかしいな」と感じるような、些細な変化から始まります。例えば、急に引きこもりがちになる、集中力がなくなり勉強や仕事が手につかなくなる、考えがまとまらなくなる、睡眠パターンが大きく崩れる(眠れない、昼夜逆転など)、などが挙げられます。人との交流を避けるようになり、口数が減ったり、感情の起伏が乏しくなったりすることもあります。

幻覚・妄想の出現

次第に、他の人には聞こえない声が聞こえる(幻聴)ようになったり、誰かに監視されている、自分の悪口を言われている、電波で思考が操作されていると感じる(妄想)といった症状が現れることがあります。これらの症状は、ご本人にとっては現実の出来事として非常に強く感じられるため、強い不安や恐怖を伴うことがほとんどです。

混乱と周囲の戸惑い

現実と非現実の区別がつかなくなり、強い不安恐怖、そして混乱状態に陥ることもあります。周囲から見ても、これまでのその人とは全く違う言動が見られるため、ご家族や友人は戸惑い、どう接していいか分からなくなるかもしれません。

早期介入の重要性

この段階で、周囲の人が異変に気づき、医療機関への受診を促すことが非常に重要です。統合失調症は、早期に治療を開始するほど、その後の回復が良好であることが知られています。症状が強く、ご本人や周囲の安全が確保できない場合、または集中的な治療が必要な場合には、入院して治療を行うこともあります。これは、症状を落ち着かせ、回復への土台を築く大切なステップです。

2. 回復期:症状の緩和と社会性の回復

急性期の混乱が収まり、薬物療法によって症状が少しずつ落ち着いてくるのが回復期です。この時期は、症状の再燃に注意しながら、社会とのつながりを取り戻していく大切な段階です。

症状の軽減と残る課題

薬の効果により、幻覚や妄想が和らぎ、思考の混乱が改善されていきます。徐々に現実と非現実の区別がつきやすくなり、ご本人の混乱も和らいでいきます。しかし、幻覚や妄想といった陽性症状が改善しても、意欲の低下、感情の平板化、人との交流を避けるといった陰性症状が残ることがあります。これは病気の症状の一つであり、患者さんの「怠け」ではありません。この陰性症状が、社会復帰の妨げとなることも少なくありません。

社会復帰へのリハビリ

この時期には、精神科デイケア、作業療法、**SST(社会生活技能訓練)**などを通じて、日常生活のスキルや対人関係のスキルを再獲得していくリハビリテーションが有効です。例えば、食事の準備、金銭管理、公共交通機関の利用、人との会話の練習など、一つひとつのステップを焦らず、ご自身のペースで取り組むことが大切です。

家族の理解と協力

統合失調症の回復には、ご家族の病気への理解と温かいサポートが不可欠です。ご家族も、病気について学び、患者さんと共に歩む姿勢が求められます。家族会への参加や、医療機関からの情報提供を受けることも、ご家族自身の心の健康を保つ上で役立ちます。

 

3. 維持期・安定期:社会参加と再発予防

症状が安定し、社会生活を送りながら、病気と付き合っていく時期が維持期・安定期です。再発を防ぐための継続的な治療と、自分らしい生活を送るための工夫が大切になります。

継続的な服薬と定期受診

統合失調症は、症状が安定していても、自己判断での服薬中止は再発のリスクを非常に高めます。医師の指示に従い、服薬を継続することが最も重要です。定期的に主治医を受診し、体調の変化や気になる症状がないか相談することで、早期の対応が可能になります。

ストレス対処と自己管理

ストレスが症状を悪化させる引き金になることがあるため、自分なりのストレス対処法を見つけ、実践していくことが大切です。規則正しい生活リズム、十分な睡眠、バランスの取れた食事など、健康的な生活習慣は心の安定に欠かせません。

社会参加の促進

症状が安定していれば、就労支援や地域活動への参加など、社会的な役割を持つことで、生活の質が向上し、自信にもつながります。焦らず、スモールステップで社会との接点を持つことが大切です。ボランティア活動や趣味のグループに参加することも、社会性を育む上で役立ちます。

再発のサインへの気づき

自分自身の体調の変化や、症状が悪化する前のサイン(例:眠れない日が続く、考えがまとまらない、特定の音が気になるなど)にいち早く気づき、早めに医療機関に相談することが再発予防には不可欠です。ご家族も、これらのサインを理解し、協力して見守ることが大切です。

社会資源の活用

地域には、精神疾患を持つ方の生活をサポートする様々な社会資源(相談機関、福祉サービス、ピアサポートなど)があります。積極的に利用することで、より安定した生活を送ることができます。

統合失調症は、確かに長く付き合っていく必要のある病気ですが、適切な治療とサポート、そしてご自身の努力によって、多くの方が安定した生活を送り、社会参加を実現しています。

もし今、統合失調症で悩んでいる方、またはそのご家族がいらっしゃいましたら、どうか一人で抱え込まず、専門機関に相談してください。希望を捨てず、回復への道を一歩ずつ進んでいきましょう。

 

2025-07-17 16:10:00

うつ病と共に生きる

「なんだか、いつもと違う

もしかしたら、あなたも、またはあなたの周りの大切な人も、そんな心のサインを感じたことがあるかもしれません。うつ病は、単なる気分の落ち込みとは違い、日常生活に大きな影響を及ぼす心の病です。しかし、適切な治療とサポートがあれば、誰もが回復し、自分らしい生活を取り戻すことができます。

今回は、うつ病の発病から安定までの道のりを、段階を追って見ていきましょう。

1. 発病・急性期:突然の闇、そして戸惑い

うつ病は、ある日突然、雷に打たれたように発症するわけではありません。多くの場合、少しずつ、気づかないうちに症状が進行していきます。

初期症状のサイン

「朝起きるのがつらい」「身体が鉛のように重い」「食欲がない、または食べ過ぎてしまう」「夜眠れない、または眠りすぎる」「集中できない」「何をする気力も湧かない」「これまで楽しかったことが楽しめない」こんな症状が、数週間以上続いたら、それはうつ病のサインかもしれません。

最初は「疲れているだけ」「気合が足りない」と自分を責めてしまいがちです。真面目な方ほど、完璧にできない自分を許せず、さらに苦しんでしまうことがあります。些細なことでイライラしたり、急に涙が止まらなくなったりすることもあります。

「私らしくない」と感じる時

これまでできていた仕事や家事が手につかなくなり、趣味にも興味が持てなくなると、「どうしてこんなに何もできないんだろう」と、自己肯定感が大きく損なわれる時期です。この「私らしくない」という感覚は、うつ病の重要なサインの一つです。

受診への第一歩

周囲から「いつもと違うよ」「病院に行った方がいいよ」と声をかけられたり、自分自身の苦しさが限界に達したりして、ようやく医療機関を受診する決断をします。この一歩が、回復への大きな第一歩となることを忘れないでください。

医師の診断を受け、多くの場合、薬物療法と休養が指示されます。薬の効果をすぐに実感できるわけではないため、焦りや不安を感じることもあるでしょう。しかし、これは回復のプロセスの一部です。焦らず、医師の指示に従うことが何よりも大切です。

 

2. 回復期:光が見え始める時

急性期を乗り越え、少しずつ症状が和らぎ始めるのが回復期です。この時期は、症状に波があることを理解し、焦らず治療を続けることが大切です。

症状の改善と「波」

身体の倦怠感が少しずつ取れ、食欲が出てきたり、夜眠れるようになったりします。思考も少しずつクリアになり、意欲が戻ってくることもあります。しかし、良くなったり悪くなったりを繰り返す「波」があるのがこの時期の特徴です。「せっかく良くなったのに」と落ち込むこともあるかもしれませんが、これは回復の過程で自然なことです。

「良くなった」の落とし穴

「もう治った!」と感じて、勝手に服薬をやめてしまう方がいますが、これは非常に危険です。症状がぶり返したり、以前よりも悪化したりする再燃・再発のリスクが高まります。必ず医師と相談し、指示された通りに服薬を続けましょう。

社会復帰へのリハビリ

医師と相談しながら、段階的に日常生活に戻る練習を始めます。散歩や軽い運動、趣味の再開など、できることから少しずつ始めていくのが良いでしょう。休職していた場合は、職場復帰に向けた**リハビリ(リワークプログラムなど)**も有効です。焦らず、自分のペースで進めることが成功の鍵となります。

セルフケアの重要性

自分の心の状態に意識を向け、どのような時に調子が悪くなるのか、どうすれば気持ちが落ち着くのかを理解し、ストレス対処法を身につけていく時期でもあります。日記をつける、リラックスできる活動を見つけるなども有効です。

 

3. 維持期・安定期:自分らしい生活を取り戻す

症状が落ち着き、日常生活を問題なく送れるようになるのが維持期・安定期です。この時期も、再発予防のための継続的な治療とセルフケアが重要です。

服薬の継続と定期受診

症状が安定していても、医師の指示通りに服薬を続けることが再発予防につながります。自己判断で中止しないようにしましょう。定期的に主治医を受診し、体調の変化や気になる症状がないか相談することで、早期の対応が可能になります。

健康的な生活習慣の定着

十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持することが心の安定に繋がります。これらは、心の健康を保つための土台となります。

ストレスマネジメントの実践

ストレスの元となるものから距離を置く、リラックスできる時間を作る、信頼できる人に相談するなど、自分なりのストレス対処法を実践します。ストレスを感じたら、早めに適切な対処をとることが大切です。

社会とのつながり

仕事や趣味、ボランティア活動などを通じて、社会とのつながりを持ち続けることは、心の健康を保つ上で非常に大切です。孤立せず、人との交流を楽しむ時間を作りましょう。

 

2025-07-17 14:36:00

レストレスレッグス症候群(RLS)で夜眠れないあなたへ

「夜になると足がムズムズして眠れない」「じっとしていると、足に不快な虫が這うような感覚がある」「足が勝手に動いてしまって、ぐっすり眠れない

もしあなたがこのような症状に悩まされているなら、それはレストレスレッグス症候群(RLS、別名「むずむず脚症候群」かもしれません。RLSは、夕方から夜間にかけて脚に不快な感覚が生じ、動かすと一時的に楽になる特徴があります。この症状は、睡眠を著しく妨げ、日常生活の質を低下させることがあります。

高崎市にある当カウンセリングルームでは、RLSの症状に苦しむ方々、特にそれによって引き起こされる睡眠障害精神的なストレスに対し、専門的なカウンセリングを提供しています。

レストレスレッグス症候群(RLS)と精神的なつながり

RLSは神経疾患の一つですが、その症状は患者さんの精神状態に大きな影響を与えます。

  • 睡眠不足による影響: RLSの主な症状は夜間に現れるため、慢性的な睡眠不足に陥りやすいです。睡眠不足は、うつ病不安障害などの精神疾患のリスクを高めることが知られています。
  • ストレスの悪循環: RLSの不快な感覚はストレスを増大させ、そのストレスがさらにRLSの症状を悪化させるという悪循環に陥ることがあります。
  • 生活の質の低下夜間の不眠だけでなく、日中の集中力低下、倦怠感、イライラなども引き起こし、仕事や学業、社会生活に支障をきたすことがあります。

RLSの治療には薬物療法が中心となりますが、症状によって引き起こされる精神的な苦痛睡眠の質の改善には、カウンセリングが非常に有効な役割を果たします。

カウンセリングがレストレスレッグス症候群(RLS)のあなたにできること

当カウンセリングルームでは、RLSを抱える方がより快適な生活を送れるよう、以下の点でサポートいたします。

  1. 睡眠の質の改善: RLSによる不眠は、精神的なストレスを増大させます。カウンセリングでは、睡眠衛生の改善やリラクセーション技法(例呼吸法、漸進的筋弛緩法)を学び、実践することで、睡眠の質を高め、疲労回復を促します。
  2. ストレスマネジメント: RLSの不快感や夜間の不眠がもたらすストレスへの対処法を一緒に考えます。ストレスが症状を悪化させるサイクルを断ち切り、より建設的なストレス対処スキルを身につけるお手伝いをします。
  3. 不安や抑うつへの対応慢性的な不眠や身体症状は、不安抑うつの感情を引き起こしやすいです。カウンセリングを通じて、これらの感情と向き合い、心の負担を軽減するためのサポートを行います。
  4. 心理的適応のサポート診断を受け入れ、病気と上手く付き合っていくための心理的な適応をサポートします。また、症状による日常生活の制限や人間関係の悩みにも対応します。
  5. 生活習慣の見直しカフェインやアルコールの摂取、運動習慣など、RLSの症状に影響を与える可能性のある生活習慣について見直し、改善するための具体的なアドバイスを行います。

高崎市で、あなたの夜を取り戻すサポートを

レストレスレッグス症候群は、外からは見えにくい症状のため、周囲に理解されにくく、一人で悩みを抱え込みがちです。しかし、適切なサポートを受けることで、症状による苦痛を和らげ、睡眠の質や心の状態を改善することが可能です。

高崎市にある当カウンセリングルームでは、RLSの症状による不眠や精神的ストレスにお悩みの方々に、専門的かつきめ細やかなカウンセリングを提供しています。対面でのカウンセリングはもちろん、体調に合わせてオンラインカウンセリングもご利用いただけますので、ご自宅など、安心できる場所からでもご相談いただけます。

もしあなたがRLSの症状で夜眠れずに苦しんでいるなら、どうか一人で抱え込まずに、私たちにご相談ください。あなたの穏やかな夜と心

 

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