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解離性障害(多重人格・解離性同一性障害)とカウンセリング
解離性障害(Dissociative Disorders)は、記憶や意識、自己認識、感情の統合が部分的に分離されることで、日常生活に支障をきたす精神疾患です。特に解離性同一性障害(DID)は、かつて「多重人格障害」と呼ばれ、複数の人格(アルター)が存在し、交替で意識や行動を支配する症状が現れることがあります。心理カウンセリングは、症状の理解、感情統合、トラウマ処理、生活の安定化に有効です。
1. 解離性障害とは
解離性障害は、強い心理的ストレスやトラウマに対する防衛反応として、意識・記憶・感情・自己認識の統合が部分的に分離される状態を指します。
主な種類と特徴
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解離性健忘:重要な個人情報や体験を思い出せない
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解離性フーガ:突然の見知らぬ場所への移動や自己認識の混乱
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解離性同一性障害(DID):複数の人格が存在し、交替で行動や記憶を支配
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離人症・現実感喪失症:自己や周囲の現実感が希薄になる
症状は多様で、本人も自覚が難しい場合があります。早期の専門的サポートが生活の安定化に重要です。
2. カウンセリングが解離性障害に有効な理由
解離性障害は、トラウマや強いストレスが背景にあることが多く、心理的支援を受けることで症状の軽減や生活の改善が可能です。
2-1. 症状とトラウマの理解
カウンセリングでは、解離のメカニズムや人格分離の背景にあるトラウマを整理し、本人に理解してもらいます。症状を理解することで、不安や恐怖感を軽減できます。
2-2. 感情統合と自己理解
複数の人格や断片化した感情を整理し、統合的に理解することを支援します。感情統合を進めることで、自己認識が安定し、生活や人間関係の改善につながります。
2-3. 認知行動療法(CBT)やトラウマ焦点型療法
CBTやEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などを用い、トラウマ体験や強い不安に対処する方法を学びます。これにより解離の頻度や強度を軽減することができます。
2-4. 日常生活や社会生活のサポート
解離や人格交替により、生活や仕事に支障が生じることがあります。カウンセリングでは、日常生活の管理、スケジュール調整、対人関係の適応力向上を支援します。
3. カウンセリングの種類と特徴
解離性障害に対応するカウンセリングには、以下の方法があります。
3-1. 心理教育型カウンセリング
解離性障害の症状、原因、治療法を本人や家族に理解してもらい、安心感と協力体制を構築します。
3-2. 認知行動療法(CBT)
解離や不安の連鎖を整理し、現実的で適応的な思考や行動を学ぶ心理療法です。
3-3. トラウマ焦点型療法(EMDRなど)
過去のトラウマ体験に向き合いながら、安全に感情処理を進め、解離症状の軽減や人格統合を支援します。
3-4. オンラインカウンセリング
外出や対面セッションが困難な場合でも、自宅から専門家に相談できます。段階的に症状に向き合い、継続的な支援を受けられる環境を提供します。
4. カウンセリングの進め方
初回では、解離症状や生活への影響、トラウマ体験の状況を整理します。その後、CBTやEMDR、心理教育、感情統合の支援を組み合わせ、段階的に症状の軽減と生活改善を進めます。週1回の継続的なセッションが基本ですが、オンラインで補助的なサポートも可能です。
5. 薬物療法との併用
解離性障害自体を直接治療する薬はありませんが、抗うつ薬や抗不安薬が併用されることがあります。カウンセリングと薬物療法を併用することで、不安やうつ症状の軽減、生活安定化が期待できます。
6. カウンセリングのメリットまとめ
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解離症状やトラウマの仕組みを理解できる
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感情統合と自己理解を進められる
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CBTやトラウマ療法で不安や解離を軽減できる
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日常生活や社会生活への適応力を向上できる
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オンライン対応で継続的な支援を受けやすい
解離性障害は複雑な症状を伴うため、専門家による段階的で継続的なサポートが重要です。
7. まとめ
解離性障害(DIDを含む)は、記憶・意識・感情の統合が分離されることで生活に支障をきたす精神疾患です。心理カウンセリングでは、症状の理解、感情統合、トラウマ焦点型療法、日常生活支援を通じて、解離症状の軽減と生活の質向上を目指せます。オンラインカウンセリングも活用することで、自宅から安心して専門家の支援を受け、社会生活や生活の安定化に役立てることが可能です。