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2025-07-30 12:35:00

「私だけが苦しい」と思い込む心に、話を聞いて「違うよ」と伝えることの大切さ

精神的につらいとき、「自分だけが苦しんでいる」と感じてしまう

心の不調を抱えている人の多くは、周囲の人にうまく相談できず、ひとりで悩みを抱えています。
それだけでもつらいのに、さらに「こんなことで悩むなんて、自分だけかもしれない」「私はおかしいのかな」と、自分を責める気持ちが強くなることがあります。

実際に、精神疾患の相談の現場では、次のような言葉がよく聞かれます。

  • 「周りの人は普通にできているのに、なんで自分だけ
  • 「こんなことで苦しんでるのは私くらいじゃないかと思う」
  • 「迷惑をかけたくないから、誰にも言えない」

これは決して特別なことではなく、**心の病を抱えたときによく起きる思い込み孤立感”**です。
その背景には、無理解や偏見、そして「弱音を吐いてはいけない」という社会の空気も影響しています。

だからこそ、私たちカウンセラーや支援者の役割は、その思い込みを優しく揺るがし、「あなたは一人じゃない」「そう感じるのは当然のこと」と伝えることにあるのです。

「私だけ?」という思い込みが生まれる理由

人が「自分だけが苦しい」と感じてしまう理由には、いくつかの心理的要因があります。

1.比較の罠に陥りやすい

SNSや周囲の人の様子を見て、「みんな普通に生活している」「仕事も家事もちゃんとこなしている」と感じると、自分の不調が際立って見えてしまいます。
表面だけを見て比較してしまうと、自分だけが取り残されたように感じてしまいます。

2.心の不調は見えないために誤解されやすい

風邪やケガとは違って、精神疾患は外からは分かりにくいものです。
そのため、「こんなにつらいのに誰にも伝わらない」「理解されない」と感じやすくなります。
共感されることが少ないと、「自分はどこかおかしいのでは?」という思考が強まっていきます。

3.真面目で責任感が強い人ほど、自分を責めやすい

精神的に不調をきたす方の中には、周囲に気を使いすぎたり、完璧を求めて無理をしてしまう方が多くいます。
だからこそ、「できない自分」「迷惑をかける自分」を許せず、自分を孤独に追い込んでしまう傾向があるのです。

話を「きちんと聞く」ことが、心の救いになる

そんなとき、何よりも必要なのが「話を聞いてくれる人の存在」です。

誰かに話をすることで、

  • 思い込みに気づける
  • 感情を言葉にできる
  • 自分を少し客観視できる
  • 気持ちが整理され、少し軽くなる

といった効果があります。

特に、否定せず、評価せず、共感的に話を聞いてもらえることで、**「こんなふうに感じていいんだ」「これは自分だけじゃなかったんだ」**と、安心感が生まれます。

私たちカウンセラーは、相談者の言葉のひとつひとつに丁寧に耳を傾けながら、その背景にある感情や葛藤を理解しようとしています。

そして、「あなたの感じ方は自然なこと」「このように感じる人は他にもたくさんいます」と伝えることで、孤独な心に光を当てるお手伝いをしています。

「違うよ、一人じゃないよ」と伝えることの大切さ

誰かに話をしたときに、「あなたは間違ってないよ」と受け止められた経験は、何よりも心強いものです。

「そう感じて当然ですよ」
「似たような悩みを抱えている人は実はたくさんいますよ」
「あなたはおかしくなんかありません」

このような言葉は、簡単なようでいて、実は心に大きな影響を与えます。
それまで「自分だけがおかしい」と思い込んでいた人にとって、「他にもいる」と知るだけで、安心と希望が生まれるのです。

ただし、それは単なる慰めではありません。実際、うつ病や不安障害、適応障害、パニック障害などは、誰でもなりうるものです。
そして、悩みながらも日々を過ごしている人は、想像以上に多くいます。

私たちは、そうした事実とともに、「あなたは一人ではない」ということを丁寧に伝えるようにしています。

勇気づけることは、前を向く力になる

カウンセリングの現場では、話を聞くだけでなく、勇気づけることも重要な役割です。

勇気づけとは、無理に前向きな言葉を投げかけることではありません。
「今のあなたでも大丈夫」「ここに味方がいる」と感じてもらうことです。

心が弱っているとき、人は「がんばれ」と言われるだけでプレッシャーに感じてしまいます。
だからこそ、私たちはその人の今の状態を認め、無理のないペースで進めることを大切にしています。

  • 少し笑えた
  • ご飯が食べられた
  • 寝つきが少し良くなった
  • 人と会うことができた

そのどれもが、小さな前進です。
そうした変化を一緒に見つけ、言葉にしていくことが、次の一歩を踏み出す力になります。

「話せる場所」があるだけで、人は変わる

精神疾患に限らず、心の問題は見えにくく、理解されにくいものです。
だからこそ、「安心して話せる場所」「何を言っても否定されない場所」が必要です。

私たちは、そのような場所を提供するために、日々カウンセリングに向き合っています。

  • 人に話すのが怖い
  • 何から話していいか分からない
  • 話したら泣いてしまいそうで不安

そんな気持ちもすべて大切に受け止め、ゆっくりと心の荷物を下ろせるような時間をつくっています。

ひとりで抱え続ける必要はありません。
誰かに話すことで、「自分を責める気持ち」から解放されることがあります。

まとめ:「私だけじゃなかった」と思えたとき、心は少し軽くなる

精神疾患を抱える人の多くが、「私だけがこんな思いをしている」と感じてしまいます。
その思い込みは、孤独や不安をさらに深めてしまう原因になります。

だからこそ、私たちはその声に耳を傾け、
「あなたは一人じゃない」
「同じように感じている人は他にもいる」
「それはおかしなことではない」
と伝えることを大切にしています。

そして、話を聞くだけで終わらず、その人の強さや小さな変化に目を向け、勇気づけていく。

それが、私たちのカウンセリングの原点です。

「話すこと」は、ただの会話ではありません。
心を回復させるための、最初の一歩です。

もし今、誰にも話せずに苦しんでいるなら——
私たちは、あなたの話に丁寧に耳を傾ける準備ができています。

一人で抱えないでください。
話すことで、きっと見える景色が変わっていきます。

 

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