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カウンセラーは話を聞かず心理テストばかりしたがる?その真相とは
「カウンセリング=心理テストばかり?」という誤解
初めてカウンセリングを受けた方や、医療機関での心理相談を経験した方から時折聞かれる声に、「カウンセラーって話を聞いてくれず、心理テストばかりやるんですよね」というものがあります。
確かに、初回の相談でいきなり性格検査やストレスチェックなどを行う場面に戸惑う方は少なくありません。
「私の話を聞いてほしかったのに、なぜ検査ばかりなの?」と感じた方もいるでしょう。
しかし、これはすべてのカウンセリングに当てはまるわけではありません。
本来のカウンセリングは、話を聞くこと(傾聴)を土台に、必要に応じて心理テストを用いるものです。
今回は、カウンセリングにおける心理テストの役割や、話を聞く姿勢とのバランスについて詳しく解説します。
心理テストの役割とは何か
心理テストと聞くと、「診断される」「数値で判断される」といった不安を感じる方が多いかもしれません。
しかし、心理テストの本来の目的は、あなたの性格や考え方の傾向、ストレス状態などを客観的に把握するためのツールです。
たとえば次のようなケースで活用されます。
- ご本人が自分の性格をうまく言葉にできないとき
- 感情が強く動いていて冷静に話すことが難しいとき
- 医師の診断や支援方針を考えるための補助資料として必要なとき
- 学校や職場での支援に、客観的な情報が求められるとき
つまり、話を聞かない代わりに心理テストをするのではなく、話を聞くための参考資料として心理テストを使うのが本来の姿です。
カウンセラーのタイプと機関による違い
実は「カウンセリング」と一口に言っても、提供される内容は機関やカウンセラーによって異なります。
医療機関(心療内科・精神科)でのカウンセリング
医療機関で行われるカウンセリングでは、診断や治療の一環として心理検査が組み込まれることがあります。これは医師の診断をサポートする目的があるため、定型的なテストが先行する場合があります。
そのため、初回で「話す」よりも「書く」作業が多くなることもありますが、これは決して話を聞く姿勢がないという意味ではありません。医療的な事情や制度上の都合で、最初に検査を求められるケースがあるのです。
民間のカウンセリングルーム
一方、民間のカウンセリングルームでは、心理テストを用いず、話を中心に進めるカウンセラーが多い傾向にあります。
特に臨床心理士や公認心理師などの資格を持つ専門家であれば、話を丁寧に聞きながら、クライエントの状態に合わせて柔軟に進めていくことが一般的です。
つまり、「心理テストばかりで話を聞いてくれない」という体験をしたとしても、それはその機関やカウンセラーのスタイルによるものであり、すべてのカウンセラーがそうだとは限らないのです。
心理テストを拒否してもいいの?
カウンセリング中に心理テストの提案があったとき、「ちょっと抵抗がある」「今日はやりたくない」と感じることがあるかもしれません。
このような場合、はっきりと断って構いません。
カウンセリングは強制ではなく、あくまで本人の意思を尊重するものです。
良いカウンセラーであれば、あなたの気持ちをきちんと受け止め、別の方法で話を進めてくれるでしょう。
心理テストはあくまで“道具”であり、それを使うかどうかを決めるのはあなた自身です。
話を聞くことが最も重要な場面も多い
多くの心の問題は、話を丁寧に聞いてもらうことによって、自然と整理されていくものです。
「本当は何がつらかったのか」「どこで無理をしていたのか」を言葉にしていくプロセスそのものが、癒しと気づきを生み出します。
心理テストでは測りきれない“心の声”を見つけるためにこそ、カウンセリングがあります。
心理テストの結果が正しくても、自分の気持ちと一致しなければ意味がありません。
だからこそ、話を聞くカウンセリングの時間が大切にされるべきなのです。
こんなカウンセラーは避けるべきかもしれません
ごくまれにですが、以下のような対応をするカウンセラーには注意が必要です。
- 毎回心理検査を繰り返し、話を遮る
- 「あなたはこのタイプだからこうしなさい」と断定する
- こちらの気持ちや希望を無視して検査を進める
- 話すことに興味を示さず、数値だけで判断しようとする
このような姿勢は、カウンセリングの本質から外れています。
話すことを大事にしてくれるカウンセラーに出会うことが、心の回復への第一歩です。
自分に合うカウンセラーを選ぶポイント
カウンセラーとの相性はとても大切です。
心理テストに頼るかどうか以上に、「この人には安心して話せるかどうか」が重要です。
選ぶときのポイントとしては、
- 初回の雰囲気が柔らかく、話を引き出してくれるか
- 話すペースを尊重してくれるか
- 無理に話題を誘導せず、待ってくれるか
- 心理テストを勧める際も、理由を丁寧に説明してくれるか
これらを意識して、数回受けてみて判断するのもよい方法です。
まとめ:話を聞いてくれるカウンセラーに出会おう
「カウンセラーは話を聞かず、心理テストばかりする」
このような体験をしたことがある方にとって、カウンセリングは「冷たいもの」「機械的なもの」と感じられたかもしれません。
しかし、本来のカウンセリングはまったく逆です。
- あなたの話に耳を傾け
- その言葉の奥にある気持ちを大切にし
- 必要に応じて心理テストを活用しながら
- 自分自身を理解するプロセスをサポートする
それが、真の意味でのカウンセリングです。
心理テストはあくまで「補助的なツール」であって、「会話に代わるもの」ではありません。
あなたの言葉、あなたの感情、あなたのペースを大切にしてくれるカウンセラーと出会うことが、心の回復への本当のスタートになります。
「話したい」「聞いてほしい」
そう思ったときが、カウンセリングを受ける最良のタイミングかもしれません。