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2025-07-26 12:37:00

持続性抑うつ症とは?慢性的な気分の落ち込みと向き合う

もしあなたが、数年にわたって「なんとなく憂うつ」「気分が晴れない」といった状態が続き、日常生活に影響が出ているなら、それは「持続性抑うつ症」かもしれません。以前は「気分変調症」と呼ばれていたこの病気は、重いうつ病ほど劇的な症状ではないものの、長く続く慢性的な気分の落ち込みが特徴です。

持続性抑うつ症は、その症状の慢性さから「そういう性格だ」「怠けているだけだ」と誤解されやすく、本人も周囲も気づきにくいことがあります。しかし、これは治療によって改善が期待できる心の病気です。

持続性抑うつ症の主な症状

持続性抑うつ症は、ほとんど毎日、2年以上にわたって抑うつ気分が続くことが診断の主要な基準となります。子どもや青少年では、抑うつ気分または易怒性(イライラしやすいこと)が1年以上続く場合に診断されます。

症状は以下のうち、2つ以上が当てはまる場合に診断されます。

  • 食欲の異常食欲不振または過食
  • 睡眠の異常不眠または過眠
  • 気力の低下または疲労エネルギーがなく、疲れやすい
  • 自己肯定感の低下自分に自信がない、自己評価が低い
  • 集中力の低下または決断困難物事に集中できない、優柔不断になる
  • 絶望感物事を悲観的に捉える、将来に希望が持てない

これらの症状は、重いうつ病(大うつ病性障害)のような強い苦痛を伴わないこともありますが、その代わりに症状が長く続くため、日々の生活の質(QOL)を大きく低下させます。

大うつ病性障害との違い

持続性抑うつ症は、大うつ病性障害と似た症状を持つため混同されやすいですが、いくつかの違いがあります。

  • 症状の重症度持続性抑うつ症の症状は、大うつ病性障害ほど重くないことが多いです。日常生活に支障は出るものの、完全に活動できないほどではない場合が多いです。
  • 症状の持続期間持続性抑うつ症は2年以上という慢性的な経過が特徴ですが、大うつ病性障害は比較的短期間で重い症状が現れます。
  • 寛解期間持続性抑うつ症の場合、2年間の期間中に症状が消失する期間が2ヶ月を超えることはありません。

ただし、持続性抑うつ症の経過中に、大うつ病性障害の診断基準を満たす「大うつ病エピソード」を経験することもあります。この状態は「二重うつ病」と呼ばれ、通常のうつ病よりも治療が難しくなる傾向があります。

持続性抑うつ症の原因

持続性抑うつ症の明確な原因はまだ特定されていませんが、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  • 生物学的要因脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスの乱れが関与していると考えられています。
  • 心理社会的要因長期にわたるストレス(慢性的な人間関係の問題、仕事のプレッシャー、経済的な困難など)、幼少期のトラウマ、愛着の問題、自尊心の低さなどが、発症や持続に関わっている可能性があります。
  • 遺伝的要因家族にうつ病や他の気分障害の人がいる場合、発症リスクが若干高まることが指摘されています。
  • 性格的要因完璧主義、悲観的思考、ネガティブな捉え方をする傾向、自己批判的であることなどが影響する場合もあります。

持続性抑うつ症の診断と治療

持続性抑うつ症は、その慢性性から「性格だから仕方ない」と放置されがちですが、適切な診断と治療を受けることで、症状は改善し、より活動的で充実した生活を送れるようになります。

診断は、精神科医や心療内科医が、症状の経過、現在の状態、生活への影響などを詳細に問診し、国際的な診断基準(DSM-5など)に基づいて総合的に判断します。

治療は、主に「精神療法(カウンセリング)」と「薬物療法」を組み合わせて行われることが多いです。

1. 精神療法(カウンセリング)

持続性抑うつ症の治療の中心となることが多く、特に慢性的な症状や思考パターンへのアプローチに有効です。

  • 認知行動療法(CBT持続性抑うつ症に対して特に有効性が高いとされている心理療法です。慢性的なネガティブな思考パターンや、物事を悲観的に捉える傾向に焦点を当て、それらをより現実的でバランスの取れたものへと修正していくことで、気分や行動の改善を目指します。「どうせうまくいかない」「自分は何をやってもダメだ」といった思考を客観的に見つめ、具体的な行動目標を立てて実践していく過程を通じて、自信を取り戻すことを目指します。
  • 対人関係療法(IPT対人関係の問題が抑うつ状態と関連している場合に有効です。人間関係のパターンを振り返り、コミュニケーションスキルを向上させることで、対人関係ストレスの軽減を目指します。
  • 弁証法的行動療法(DBT感情の調整が苦手な場合や、自己破壊的な行動が見られる場合に用いられることがあります。マインドフルネス、苦痛耐性、感情調整、対人関係有効性といったスキルを学びます。
  • 支持的精神療法カウンセラーが共感的に話を聞き、受容することで、患者さんが抱えている苦痛や不安を軽減し、自己肯定感を高めていくことを目指します。

2. 薬物療法

精神療法と併用されることで、より効果的な症状の改善が期待できます。

  • 抗うつ薬脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスを整えることで、抑うつ気分、意欲の低下、不眠といった症状を改善します。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などがよく用いられます。
  • その他の薬不眠や強い不安がある場合には、睡眠導入剤や抗不安薬が一時的に併用されることもあります。

薬物療法は、効果を実感するまでに時間がかかることがあります。また、症状が改善しても、再発予防のために医師の指示に従い、根気強く服薬を続けることが非常に重要です。自己判断で中止せず、必ず医師と相談しながら進めましょう。

持続性抑うつ症とオンラインカウンセリング:Zoomの活用

近年、オンラインでのメンタルヘルスサポートが急速に普及しており、Zoomなどのビデオ通話ツールを用いたオンラインカウンセリングは、持続性抑うつ症を持つ方々にとって非常に有効な選択肢となっています。

  • 通院の負担軽減慢性的な抑うつ状態は、外出すること自体が大きな負担となることがあります。オンラインカウンセリングであれば、自宅など慣れた環境からセッションに参加できるため、通院の心理的・物理的ハードルが大幅に下がります。これにより、治療の継続率向上にも貢献します。
  • 柔軟なスケジュール調整移動時間が不要なため、自身の体調や日課に合わせてより柔軟な時間設定が可能です。疲労感が強い時でも、無理なくカウンセリングを受けられるため、治療の中断リスクが低減されます。
  • プライバシーの確保クリニックの待合室で他の患者さんと顔を合わせることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。オンラインカウンセリングは自宅からアクセスできるため、プライバシーが確保されやすく、安心してデリケートな問題を話すことができます。
  • 安心感のある環境自宅という安心できる空間で話すことで、よりリラックスして心を開きやすくなります。これにより、カウンセリングの効果が高まる可能性もあります。
  • 地理的な制約の解消居住地の近くに専門のカウンセラーや心療内科がない場合でも、オンラインであれば全国各地の専門家のサポートを受けることが可能です。これにより、医療格差の是正にも貢献します。

Zoomオンラインカウンセリングを始める際の注意点

Zoomを使ったオンラインカウンセリングは多くのメリットがありますが、利用にあたってはいくつかの注意点もあります。

  • 安定したインターネット環境通信が不安定だと、音声や映像が途切れ、カウンセリングの妨げになります。可能な限り、安定したWi-Fi環境や有線LAN環境を整えましょう。
  • プライバシーが確保された静かな空間カウンセリングは個人的な内容を話す場です。セッション中に集中できるよう、家族や他人に話が聞かれないような、静かでプライベートな空間を確保することが重要です。
  • 使用デバイスの準備と操作の確認パソコン、タブレット、スマートフォンなど、使いやすいデバイスを用意し、事前にZoomアプリのインストールと、マイク、カメラ、スピーカーの動作確認をしておくと安心です。
  • 緊急時の対応確認症状が重い場合や、急激な悪化が見られる場合は、対面での診察や緊急対応が必要になることがあります。緊急時にどのような対応をしてもらえるのかを、事前にカウンセリング機関やカウンセラーに確認しておくことが大切です。また、医師の診察や薬物療法が必要な場合は、対面での医療機関の受診を優先しましょう。

持続性抑うつ症と向き合い、前向きな変化を

持続性抑うつ症は、その慢性的な性質から「治りにくい」と感じられがちですが、決してそうではありません。適切な治療と支援を受けることで、症状は確実に改善し、より前向きな気持ちで生活できるようになります。

「これが自分の性格だから」と諦めずに、まずは専門家(精神科、心療内科)に相談することから始めてみましょう。精神科の診察薬物療法カウンセリングといった多様なアプローチを組み合わせることで、あなたらしい回復への道が見つかるはずです。そして、オンラインカウンセリング、特にZoomを活用した支援は、その道のりをより身近で継続しやすいものにしてくれるでしょう。

一人で抱え込まず、専門家の力を借りて、心の健康を取り戻し、毎日の生活に彩りを取り戻していきましょう。

 

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