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2025-07-22 11:00:00

双極性障害とオンラインカウンセリング:安定した生活を支える新たな選択肢

気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す双極性障害は、ご本人だけでなく、周囲の人々にも大きな影響を与える精神疾患です。適切な診断と治療、そして継続的な心理社会的支援が、安定した生活を送るためには不可欠です。

双極性障害の治療の柱は、薬物療法(気分安定薬など)ですが、それに加えて、ご自身の病気への理解を深め、気分変動にうまく対処していくための心理教育やカウンセリングも非常に重要な役割を担います。

近年、精神科医療やカウンセリングの現場でオンライン化が進む中で、双極性障害の方がオンラインカウンセリングを活用する可能性と、そのメリット、そして注意点についてご紹介します。

双極性障害の心理社会的支援にオンラインカウンセリングが役立つ理由

双極性障害の特性上、オンラインカウンセリングが特に有効となり得る点がいくつかあります。

1. 気分変動による外出困難時のアクセシビリティ

双極性障害のうつ状態の時期には、外出が困難になったり、人と会うこと自体が億劫になったりすることがあります。また、躁状態の時期でも、衝動的な行動や過活動により、決まった時間や場所への移動が難しいケースもあります。オンラインカウンセリングなら、ご自宅や、ご本人が最も落ち着ける場所から、インターネットを通じて支援にアクセスできます。 気分が不安定な時でも、中断することなく継続的なサポートを受けやすくなるのは大きなメリットです。

2. 病気への理解を深める心理教育

オンラインカウンセリングでは、双極性障害に関する心理教育をじっくり受けることができます。病気のメカニズム、躁状態とうつ状態のサイン、再発予防のための生活習慣の調整、服薬の重要性などについて、カウンセラーから専門的な知識を得られます。ご自身の病気を深く理解することは、セルフケア能力を高め、気分安定に繋がります。

3. ストレスマネジメントと感情調整スキルの習得

ストレスは、双極性障害の気分変動を引き起こす大きな要因です。カウンセリングを通じて、自身のストレス要因を特定し、効果的なストレス対処法を学びます。 また、感情の波にどう対処するか、衝動性をコントロールする方法など、気分安定のための具体的なスキル(認知行動療法、弁証法的行動療法などの要素を含む)を習得するサポートを受けられます。

4. 対人関係の改善と社会性の向上

双極性障害の気分変動は、人間関係に影響を及ぼすことがあります。オンラインカウンセリングでは、円滑なコミュニケーションの方法、対人関係での困りごとの対処、周囲への病気の伝え方などについて話し合い、具体的なアドバイスを得られます。良好な人間関係を築くことは、社会的な孤立を防ぎ、病状の安定に寄与します。

5. ご家族へのサポートと教育

双極性障害のあるご家族を支える方は、病気への理解、ご本人との関わり方、自身の精神的負担など、様々な悩みを抱えることが多いです。オンラインカウンセリングは、ご家族が安心して悩みを打ち明けられる場を提供し、病気への知識、適切なコミュニケーション方法、ご家族自身のセルフケアの重要性などについてサポートします。ご家族の理解と協力は、ご本人の回復と安定に不可欠です。

双極性障害におけるオンラインカウンセリング利用の注意点

オンラインカウンセリングには多くの利点がありますが、双極性障害の方が利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。

1. 主治医との連携が最も重要

双極性障害の治療は、専門医による診断と適切な薬物療法が土台となります。オンラインカウンセリングは、あくまでその補助的な役割であり、医療行為や診断、薬の処方を代替するものではありません。オンラインカウンセリングの利用を検討する際は、必ず事前に主治医に相談し、了解を得るようにしてください。 カウンセラーが主治医と連携を取りながら支援を進めることが、最も安全で効果的です。

2. 症状の状況とオンライン対応の可否

躁状態が著しい時、重度のうつ状態、幻覚や妄想がある不安定な時期など、症状が深刻な場合は、オンラインでの対話が困難であったり、適切な情報が伝わりにくかったりする可能性があります。また、緊急性の高い状況では、オンラインカウンセリングでは対応できません。ご自身の症状が安定しており、対話が可能であるか、集中してセッションに参加できるかを慎重に判断する必要があります。

3. 緊急時の対応体制の確認

オンラインカウンセリングサービスが、緊急時(自殺企図、自傷行為、他害のおそれなど)の連絡先や対応マニュアルを明確にしているかを事前に確認し、ご家族や主治医とも共有しておくことが非常に重要です。

4. カウンセラーの専門性と経験

双極性障害の支援には、病気への深い理解と、精神疾患に関する専門的な知識、そして臨床経験が必要です。オンラインカウンセリングを選ぶ際は、双極性障害や気分障害の支援経験が豊富なカウンセラーを選ぶようにしましょう。初回面談などで、カウンセラーの専門性や、ご本人(またはご家族)との相性を慎重に見極めることが大切です。

5. プライバシーと通信環境

オンラインでデリケートな内容を扱うため、サービスのセキュリティ対策がしっかりしているかを確認しましょう。また、セッション中に通信が途切れると集中力が妨げられます。安定したインターネット環境と、プライバシーが確保できる静かな場所を準備することが重要です。

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