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発達障害と共に生きる
発達障害と共に生きる:自分らしく輝く場所を見つける旅
「なんでみんなみたいにできないんだろう…」「いつも周りの人とズレを感じる…」「集中力が続かない…」
もしあなたが、子どもの頃から、あるいは大人になってから、そういった生きづらさを感じてきたなら、それは発達障害によるものかもしれません。発達障害は病気ではなく、脳機能の発達の仕方の違いによって、社会生活や学習、コミュニケーションにおいて特性が現れるものです。近年、診断される方が増えていますが、特性を理解し、適切なサポートを受けることで、自分らしく充実した人生を送ることが十分に可能です。
今回は、発達障害の特性に気づき、診断に至るまでから、自分に合った環境を見つけて安定した生活を送るまでの道のりを見ていきましょう。
1. 特性に気づく・診断期:生きづらさの正体を知る
発達障害の特性は、子どもの頃から見られることが多いですが、周囲も本人も「個性」と捉えたり、努力不足と思われたりして、なかなか診断に結びつかないことがあります。大人になってから、仕事や人間関係で困難に直面し、初めてその「生きづらさ」の正体が発達障害であると気づくケースも少なくありません。
子ども時代からのサイン
- **自閉スペクトラム症(ASD)**の特性を持つお子さんの場合、目を合わせるのが苦手、一方的に話し続ける、こだわりが強い、集団行動が苦手、特定の音や匂いに過敏/鈍感、などが挙げられます。
- **注意欠如・多動症(ADHD)**の特性を持つお子さんの場合、落ち着きがない、じっとしていられない(多動)、忘れ物が多い、集中力が続かない(不注意)、衝動的に行動してしまう、などが挙げられます。
- **学習症(LD)**の特性を持つお子さんの場合、知的な遅れはないのに、特定の科目の読み書き計算が極端に苦手、といった特徴が見られます。
「なぜ自分は…」という感覚
成長するにつれて、周囲との「ズレ」や「うまくいかないこと」が増え、「なぜ自分はみんなみたいにできないんだろう」「努力が足りないからだ」と、自己肯定感が低下してしまうことがあります。コミュニケーションが苦手で孤立したり、うつ病や不安症を併発したりすることも少なくありません。
診断への一歩
インターネットや書籍で情報を集めたり、周囲の勧めがあったりして、「もしかして自分も発達障害なのでは?」と専門機関を受診する決断をします。発達障害の診断は、その後のサポートや理解を得る上で非常に重要な一歩となります。検査や問診を通じて、ご自身の特性を客観的に知ることは、生きづらさの理由を理解し、自分を責めることから解放されるきっかけとなるでしょう。
2. 理解・受容期:自分の「トリセツ」を知る
診断を受け、自分自身の発達特性が明らかになると、これまで感じてきた生きづらさの理由が明確になります。この時期は、自身の特性を深く理解し、受け入れていく大切なプロセスです。
自分の特性を知る
診断を通じて、自身の特性が具体的にどのようなものかを理解します。例えば、ASDであれば「言葉の裏を読み取るのが苦手」「感覚過敏がある」、ADHDであれば「マルチタスクが苦手」「忘れ物が多い」といった具体的な特徴です。これは、自分の「取扱説明書(トリセツ)」を手に入れるようなものです。
得意なこと・苦手なことを把握する
自分の特性を理解することで、これまで苦手に感じていたことの原因が「努力不足」ではなく「脳の特性」によるものだと認識できます。同時に、自分がどのような状況で力を発揮できるのか、得意なことは何かを発見する機会にもなります。例えば、ADHDの人でも、興味のあることには驚くほどの集中力を発揮する、というケースはよくあります。
環境調整と合理的配慮
特性を理解したら、それに合わせて環境を調整したり、周囲に合理的配慮を求めたりすることが可能になります。
- ADHDであれば、集中できる静かな場所を確保する、タスクを細分化する、リマインダーを活用するといった工夫が考えられます。
- ASDであれば、曖昧な指示ではなく具体的に伝えるよう依頼する、休憩時間を適切に取る、視覚的な情報(図やリスト)を活用するといった方法が有効です。 これらの調整は、ご自身の能力を最大限に発揮し、ストレスを軽減するために非常に重要です。
心理教育とサポートグループ
発達障害に関する知識を深めるための心理教育を受けたり、同じ特性を持つ人たちが集まるサポートグループに参加したりすることも有効です。自分の経験を語り、他の人の話を聞くことで、「自分だけじゃない」という安心感を得られ、具体的な対処法や工夫を知るきっかけにもなります。
3. 社会参加・安定期:自分らしく輝く場所を見つける
自身の特性を理解し、受け入れた上で、社会の中で自分らしく生きる方法を見つけていくのがこの段階です。自分に合った環境で、得意なことを活かし、安定した生活を送ることを目指します。
強みを活かす就労
発達障害の特性は、見方を変えれば「強み」にもなります。例えば、ASDの特性を持つ人は、特定の分野への深いこだわりや集中力、正確性を活かせる場合があります。ADHDの人は、瞬発力や行動力、創造性を発揮できることがあります。 就労移行支援事業所や障害者職業センターなどの専門機関を利用して、自分の特性に合った職種や職場を見つけることができます。特性をオープンにするかどうか、どの程度開示するかは慎重に検討し、必要な配慮を受けながら働くことも可能です。
ストレスマネジメントと生活習慣
発達障害の特性からくる困難によって、ストレスを感じやすいことがあります。規則正しい生活リズム、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持することは、心の安定に欠かせません。ストレスを感じた時の自分なりの対処法を見つけ、実践していくことも大切です。
関係機関との連携
困ったことがあれば、一人で抱え込まず、医療機関、地域の障害福祉サービス、相談支援事業所など、様々な関係機関と連携を取り続けることが重要です。定期的な診察や相談を通じて、困り事を早期に解決し、必要なサポートを受け続けることで、安定した状態を維持できます。
自分らしい居場所づくり
仕事だけでなく、趣味や余暇活動、コミュニティ活動などを通じて、自分らしくいられる居場所を見つけることも大切です。特性を理解し、受け入れてくれる友人や仲間との関係は、心の支えとなります。
発達障害は、個性の違いであり、決して「治す」ものではありません。しかし、その特性によって生じる生きづらさは、適切な理解とサポート、そしてご自身の工夫によって、大きく軽減できます。
もし今、発達障害のことで悩んでいる方がいらっしゃいましたら、どうか一人で抱え込まず、専門機関に相談してください。あなたの特性は、きっとどこかで輝くための大切な個性です。